ナンパ男との恋 社会人編

「春ちゃん、こっち向いて」

「さおりさん・・・」

「ほらほら、半べそかかないの。
これはひどいわね・・・
彼氏がしたの?」

首を横に振ると

「キズテープじゃ バレバレだし・・
そうだ、ちょっと待ってて?」

しばらくすると
ポーチを片手に
ゴソゴソと中から取り出すと


「こういう時は
これこれ、コンシーラーの登場でしょ。
春ちゃんは まだ若いから必要ないけど
私は ほら、若いんだけど
より若く見せる為に カバーしなきゃいけないから、ね。」


そう笑いながらも
私の首に ポンポンと塗り
上から パウダーを乗せると


「どう?これなら大丈夫でしょ?」

鏡を見ると
うっすら目をこらさないと分からないくらいになっていて


「さおりさん・・・あ、ありがとう。」

「困った時は お互い様だからね。
ただ、やっぱり時間が経つと だんだんとれちゃうから
小まめに直さないとダメよ。
あっ、そうだ!
これあげるよ。どうせ新しいの買おうと思ってたし
消えるまで これで隠し続けなさい。
彼氏にバレたら大変でしょう?」

「あ・・・ありがとうございます」

「あらら また半べそになっちゃったわ。
ほらほら 仕事仕事!」

「はい」

診療時間が始まり
次々と患者さんが入り
朝の事を考える暇すらないくらい忙しくなった。


けど・・・・


お昼は やってくるわけで・・・


今一番見たくない去川さんとも顔を合わせないといけない。
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