ナンパ男との恋 社会人編
「何だこれ?」

机の上の紙袋を
指差している。

「去川さんが たい焼きくれて・・
輝樹にも1個食べさせてって
言ってたよ。」


「あぁ、じゃあ食う」

思わず サキさんが
食べてたって言いそうになったけれど
やっぱり、
ケチとか・・セコイとか
嫌な女とか・・思われたくないのが先走り 口を閉ざした。

食器を洗いながら
これ以上 何も追求する事ができない自分が 情けなくなってきたり、
今日の サキさんの言葉が頭の中を駆け巡っていたり・・・


「ほら、春菜
口あけろ」

「・・え?」

振り向いたと同時に
口に たい焼きを
押し込められた。


「うまいだろ?」

「んんんうう」

口いっぱいに入れすぎて
まったく声にならない・・。


ようやく飲み込み

「もう!」

「ん?うまかったろ?」

「私も食べたってば」

「俺 甘いの苦手だし?」

「苦手だからって 普通
急に 口の中に
押し込めないって!」

「そうか?
俺の物は 春菜の物でもあるだろ?
だから 半分やらねぇとな?」

「意味不明だし・・・」

とか言いつつ

何となく・・・

うれしい言葉でもある・・・。

< 48 / 330 >

この作品をシェア

pagetop