ナンパ男との恋 社会人編

「ちょっとは元気出たか?」

「ん?」

思いがけない言葉に
輝樹を見上げた。

「何かあったんだろ?」

「あ、うん・・・・」


「しんどくなったら
ちゃんと言えよ。
話くらい聞いてやっから」


うん・・・でも、

こんな事 輝樹に言えないよ・・・


黙って頷く事しかできない自分が嫌になって、

あんな事される隙を与えてしまった自分が もっと嫌になって

輝樹を裏切るような事をした自分が 大嫌いになった。


そして、すべてを言う勇気がない自分は

本当に最低だと思うし、卑怯だと思う。


そんな事考え出したら
涙が出そうになって
うつむく事しかできなくなった。

でも、そんな時に限って
輝樹は鋭くて・・・


「泣きてぇなら泣きゃいいのに。
別に 笑ったりしねぇんだから。
無理すんなよ」


そう言いながら
滅多に見せない優しさを
思いっきり出して
また 涙を堪えるのに必死になるんだ。




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