ナンパ男との恋 社会人編
そのままお互い黙り込み、

静まった受話器の向こうから

「ねー、輝樹ビールないの?
あ、電話中?ごめんごめん」

女の人の声・・・。



「・・・もしかして
サキさん・・?」


「あ?あぁ」


何でサキさんが家にいるの?

聞かないと、輝樹は
教えてくれないんだよね・・

聞けば、ちゃんと答えてくれる。

それが輝樹だもん・・・

けど、今は・・・

聞かないでも・・・

私の気持ち・・・
分かってほしかった。

勝手だけど・・・
こんな時だから、私の事・・・

ちゃんと考えてほしかった。

何だか・・力抜けちゃった。


「そか・・・
じゃあ、切るね・・」


「は?ちょ、おい・・」


そのまま、携帯の電源を落とした。


「お嬢・・?」

「ん・・・?」

「そんな涙堪えんでもいいって。
別に 笑ったりしないし
泣けばいいじゃん?」

「ん・・・」

体育座りをしながら
顔を埋め ちゃんと涙を堪えてるはずなのに
勝手に出る涙は 全然止まらず
そんな私の頭に手を乗せ


「まー、一度 泣いて
頭からっぽにすると
冷静に考えられるもんだしね。
そういう時間も必要だしさ、
たくさん泣け泣け」


そんな事言われると
ますます泣けてきて・・・




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