狼先輩。


私は2人から視線を逸らすように、背を向けた。



見たくない。




俯くと、どうしても涙がこぼれそうで。



でも、顔を上げて、みんなに泣いていることを知られたくなくて。



ぽんっと肩を叩かれて、少しだけ顔を上げると、そこには切なげに笑う西村くんがいた。




……西村くん。


何も言わない彼は、きっと私の気持ちを知っている。



今、私が泣きそうになっているのも知ってるんだ。




それから、何も言わずに俯く私のそばに、西村くんは休憩が終わるまでいてくれた。








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