B - Half
 すとんと、貴子さんの言葉が、胸の底の底まで、落ちていく。

 ――キョウが、好き。

 そんなことさえきちんと、考えたことがなかった。

 キョウともコウとも、スキンシップの延長線上でキスをして――それ以上のことだってしたのに。

 恋愛感情なんかじゃない。

 1番傍にいるんだから、1番はじめにそういうコトをするのは、ふたりだと思ってた。

「……貴子さん」

 べしゃりと、頭がテーブルに落ちる。

 頬に、ひんやりと堅い感触。

「ん?」

 『なんでもお見通しよ』と云わんばかりの、穏やかすぎる貴子さんの声。

「あたしって、バカよね」
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