B - Half
「いつも思うんだけど、お前、毎回どうやって玄関まで入り込むんだ?」

 一応、このマンションはオートロックなるものがあったはず。

 エントランスで暗証番号を入れて~、という手間ヒマを、ちゃっかり茶をすする穂波はどうクリアしているのやら。

「か~んたんですよ。入るひとつかまえて、正々堂々ホントのコトお話すればいいんです」

 勝率は八割ですね! と指を折る穂波に、めまいがした。

「まさか、俺の名前を口走ったり……」

「一週間も続けると公認の仲ですね!

 大丈夫! みんな祝福してくれてますよ!」

「いらねえよ、そんな妙な祝福」

 か細い溜め息が知らずに漏れる。
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