ベイビー&ベイビー




「いや、ひとつ見ていないよ、明日香ちゃんは」

「?」


 首を傾げて、俺を見つめるさまがあんまりに可愛いので俺は思わず明日香を抱き寄せていた。

 まったく、覚悟が決まれば行動が大胆になる。
 そんな自分に苦笑する。

 しかし、悪くはない。
 今の俺は、結構好きかもしれない。


「明日香ちゃんに恋する俺の姿」

「!!」

「まだ見せてないだろう?」


 明日香を抱きしめていた腕を緩めて、明日香の顔を覗き込む。
 ニヤリと口元を上げると、明日香は真っ赤になってうろたえていた。


「本性出していくから、よろしく。明日香ちゃん」

「!」


 まずは。

 言いたくても、言えなかった。
 あの言葉を。


「明日香ちゃん」

「は、はい?」


 真っ赤になってうろたえている明日香に唇を奪う前に呟いた。


「……好きだ」

「っ」



 なにか明日香が口にしようとしていたが、その声は。
 
 甘い口づけに溶けていった。



 

 FIN
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