血の契約

学園





「ねぇ、朝香。この童話ってさ。子供が読むのにはかなり惨いよね」



ここはパドマ学園高等部の離れにある女子寮の一室。



その一室で二人の少女が分厚いパドマ学園の生徒なら誰でも知っている童話を元に感想文を書いていた。



横で読書をしていた染川朝香(そめかわ あさか)は煩わしそうにこちらを向きため息をつく。



「そんな下らないこと考えてるから読書感想文が終わらないのよ。一体何時間その藁半紙と格闘している気なの?」



「そろそろ3時間…?」



「正真正銘のバカね」



私を一瞥して、再び読書に戻る朝香。
…ひどい友人である。



「あぁ、もう!こんな文を書く意味が分からない!こんなんなら数式解いてる方が断然まし!!」



「その、アンタの思考が分からないわよ。」



朝香は、長い黒髪を書き上げ、本を閉じて立ち上がる。



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