ギルディラヴ~社長と誓う偽りの愛~
俺は兄貴の問いにあえて返さなかった。



「兄貴の嫁になる女だ…俺は彼女を守るだけだ…」



昨日の夜も十和子の無意識な誘惑に流されそうになったけど何もしなかった。



俺が兄貴から十和子を奪い、愛しても幸福な未来は見えて来ない。



「…俺はお前の置かれている境遇には同情するけど、十和子を譲るつもりはない」



兄貴は書類を整えながら言い放った。




「同情なんてしなくてもいい…早く…犯人を突き止めようぜ」



「…そうだな…俺も十和子を危険に晒したくない」



「あの…コーヒー入りましたけど…」



十和子がトレーを持ち、戸惑いがちな表情で俺たちの目の前に立っていた。






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