こんな日もあるさ
◆上には上が

実家の母は神経質で、「超」がつくほどの心配性。
何事もしっかり準備しないと気がすまない。
(自分の葬式も自分で準備するに違いない――姉と私はそう踏んでいる)

大地震がくると聞けば飲料水、乾パン、カセットボンベを買い込み、輸入品に問題ありと聞けば国産食材だけでおせち料理を作るような人である。

たまに会うなら構わないが、一緒にいて暮らしやすい相手ではない。



姉は実家のすぐ近くに住んでいる。

いつぞや私が実家に帰った時、姉の家の窓ガラスが汚いので母が磨いてきたという話になり、そこから始まる「よくあんなになるまで放って置けるね」というお小言。

窓ガラスが汚くたって死にゃあしないよと思いながら姉の方を見ると···姉はニッと笑った。

「気にするな。聞き流していれば、窓はひとりでにきれいになる」


(゜▽゜;) はうっ!

悟りだ···

今私は悟りを開いた人間を見たっ!

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