君にすべてを捧げよう
蛇足的後日談
【1】


両親を迎えに行かなければならないことを思い出したのは、飛行機の到着時刻、その時であった。
二人で慌てて迎えに行ったものの、待ちぼうけを食らった両親は、当たり前だがめちゃくちゃ怒った。
が、泣きはらした顔のあたしと、緊張した様子の蓮を見て何事かあったのだと察したらしい。顔色を変えた。


「めぐる……あんた、やっぱり詐欺られたのね!?」


断じて違う。


そこで、紆余曲折あって蓮と結婚したいと報告したら、母が卒倒した。
急病だ、救急車だと大騒ぎになり、病院にまで搬送されたが、その実、原因は『長年の夢が叶ったことに感動』したのだそうだ。


「由香と二人でね、よく話したの。お互いの子供が結婚したら素敵よね、って。おかーさん、もうすごく嬉しい」


人騒がせにもほどがある。

今では、蓮母と二人で、結婚式に夢を広げている。
披露宴など壮大なプランなのだが、花婿は元より、花嫁までもが完全なお飾り。座ってるだけなのらしい。
なのに、母親同士のお色直しにデュエットなど、訳の分からない内容盛りだくさんで、何と四時間を予定しているのだとか。

蓮に言えば、「好きにさせておけ」と言うばかり。
父たちは「済まない、もうどうしようもない」と頭を下げてくる始末。

正直、式なんてしなくてもよいとさえ思ってきている。


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