ある小説家の苦悩
ある小説家の苦悩
つい先日恩師から「知り合いの娘さんが小説を書いたので、批評してあげてくれないか」と頼まれた。


本来私はそのような事はしていない。


一応「作家」としての活動はしているが、自分の作品を作り出すのに精一杯であるし、偉そうに人様に意見ができるほどの器ではないと思っている。


しかし「プロに作品を読んでもらえる機会なんてそうそうない。たとえ一言でもアドバイスがもらえれば、本人には大きな励みになるだろうから一肌脱いではくれないだろうか」と土下座されそうな勢いで頼みこまれては無下には断れなかった。

本当にお世話になった先生なのだ。

その方のお陰で、今の私があるようなものだ。


一本連載を抱えていたが、無事締め切り前に片付いた。


単発で依頼されたエッセイも、もう大筋の流れは決まっていて、後は清書するだけである。


引き受けるならこのタイミングであろうと、仕方なく、私は保留にしていた返答をすべく、恩師に連絡を取ったのだった。
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