禍津姫戦記
 ハバキは大きく息を吐き出すと、立ち上がり静かにおもてへ出た。
 雨水をためた大甕のそばで、着ているものを脱ぎ捨て下帯一本になると、柄杓でざぶざぶと頭から水をかぶった。
 冷たい水が肌の上ではじけ、ハバキは獣のようにからだをぶるっと震わせた。 
 ハバキは、裸のまま草の上にごろりと大の字になり、手足を伸ばした。
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