禍津姫戦記
 その女――モモソヒメとハバキとは遠くから、たがいに睨み合っていた。
 湿った風が平野を渡ってゆく。灼熱する陽射しが容赦なく大地を焼いて、かしこに蜃気楼が揺らぎ立っていた。
 ハバキは天にむかってすらりと剣を抜き放った。
 その瞬間――ふたたび景色がぐにゃりと歪んで、虹色の光の波がすべてを押し流した。
< 24 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop