禍津姫戦記
 ハバキは姫夜を森につないであったおのれの馬に乗せた。山をくだってゆくと道が開け、十人ほどの兵士たちが休んでいるのが見えた。いずれもハバキのような鎧ではなく、粗末な籠手や革のすねあてのみをつけている。
 中から隊長らしきものが馬に乗って駆けてきたが、自分の主が従者のように手綱をひいているのを見て、眼を丸くした。
 ハバキはきびきびといった。

「クラト、他の者たちは無事に砦に戻ったか」
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