禍津姫戦記
「そんなことを云われても――」

「おまえも厨でアゲハを見かけたら声をかけてやってくれ」

 カリハは笑って姫夜の肩を叩くと、行ってしまった。
 こればかりは気軽に取り次いでやるわけにはいかない。

(ハバキが本当に妻に望んでいるのは誰なのか、それを明かす日は来るのだろうか)

 姫夜は内心ため息をついた。
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