溺愛MOON
「ううん、素敵な名前。かぐやにピッタリ」


私がそう言うとかぐやは優しい目をして微笑んだ。

笑うといっそう幼く見えるその笑顔に胸がきゅんと締めつけられる。


「七海……、また会える……?」

「あぁ」

「ここで待ってるね」

「あぁ、ちゃんと香月に相応しい男になって帰って来る」


そう言うとかぐやは私の両手を掴んで引き寄せ、触れるだけのキスをした。

チュッと音を立てて離れるかぐやの後ろで、驚いた表情をしている稲垣さんの顔が目に映る。


私は真っ赤になった。

絶対、中条さんも見ているに違いない、と思うととても振り向けなかった。


「香月が好き」


身を小さくする私を面白そうに眺め、さらっとかぐやが言った。


その言葉に私の涙腺のダムは決壊してしまい、涙が止めどもなくポロポロと零れた。
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