溺愛MOON
やっぱり夜じゃないと。

夜光虫が光らない。


人魚も上陸しないに違いない。


私は家に帰ると急いで夕食の仕度をした。

お金がないからいいんだけれど、この島には外食産業はほとんどない。

船着場のそばに寂れた食堂が1軒あるきりだ。


契約社員で働いていた頃はコンビニのお弁当ばかり食べていた私も、近頃はすっかり地産地消の生活に慣れていた。

毎日、何か海産物を食べている。


しかも売り物にならないマイナー魚と呼ばれる、見たこともない魚が毎日のように誰かから貰えるんだけれど、これが意外においしいのだ。


誰かから何かを無料で貰う、という都会ではちょっと恐ろしい習慣も、段々違和感なく受け取れるようになってきてしまった。
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