溺愛MOON
自惚れかな。

単に陽射しが眩しかっただけかもしれないけど。


けど、初対面の時にはまるで視界に入れてもらえなかった私が、彼の目に映っていることが私は嬉しかった。

かぐやといるとキラキラした欠片をたくさんもらえる気がする。


おとぎ話を読んで、わくわくする子どものように。


かぐやはそのままゆっくりと砂浜を道路へと登り始めた。

あの時のように。


私は今度こそ見失わないようにかぐやを追いかけた。


「どこに行くの!?」

「用が済んだから着替えに帰る」


無視されるかと思ったけどかぐやは淡々と答えた。


このままついていけばかぐやの居場所が分かるかもしれない。

私は躍り出したくなる気持ちを懸命に抑えて、小走りに彼の後を追いかけた。
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