ねぇ、すき。


楽しげに花火をするみんなに、
――先に帰るね、怒られちゃった。と言って笑う。


ばいばい、またね。


笑顔で手を振ってくれるみんなにちゃんと笑い返せたかも定かじゃない。








「ただ、すきなだけだったの。すきなだけだったの。」


小さな呟きに彼女はうん、と返す。彼女にあって止まった涙はまたゆっくりと溢れだして。


「告白、しようと、思ってた、のに。なんで、かな。」


さっきまで。
会えたら、ずっとすきなコトを伝えようと思ってた。


だから、聞いたのに。


「――彼、はどうしてる?って、聞いたの。」


その時、に感じた想いが溢れて押し潰そうとする。


「あの子と彼が付き合ったことやろ?って言われた。」


鈍器で頭を殴られた感覚。
むしろ、ホントだったら良かったかも。
そしたら、夜の海を見て馬鹿なコトなんて思わなかった。



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