ソラナミダ
携帯……


どこにやった…?



最低…。


ひとりは嫌だと言いながら…



散々気を遣ってもらいながら…。




馬鹿だ…、私。





「…あいつはそんなに器の小さい男じゃあないぞ。多少のことでは怒らない。むしろお前を心配してたくらいだ。」



「…嘘……」



「面白い組み合わせけど…俺はおまえらお似合いだと思うぞ。」


「…木村さん、ソレこそ誤解です。彼氏でも何でもなくて…、隣人で、ただ友達ってだけです。」


「………?そうなの?」



「…てか、本当に親しいんですね。ハルミくんと木村さん。」



「…そりゃあそうだ。俺はあいつの………」




…木村さんの声を遮って…



会社の電話が鳴った。



デスクの女子社員が、それを取る。




「…そうだ、携帯……。」


私は木村さんにお礼を行って、それから…


デスクの上を探ってみた。




「………あった!」


鞄の一番底…
色んな物の下敷きになって…


携帯は見つかった。




「………。」



着信1件…
メール1件…。



知らない番号。
知らないアドレス。


ハルミくん…だろうか。




メールをひらく。



『仕事お疲れ様。無理しすぎないようにね。 晴見 うの』



「………。」


本名で送って来てるし。


そっか…「ハルミ(晴見)」ってこういう漢字だったんだ。


晴見……



「…うの…くん。」



おかしなことに…



妙な優越感に浸ってしまっていた。なぜなら……


みんなが知らない、ハルミくんの本名。



そして…
彼の優しさを…私は知ってしまったから。




「…晴海と菱沼いちか、一緒の撮影だからな、今日。」








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