桜並木の下で  上 ~四月から九月~






 八月、夏休み。



 寮生活のままの人もいれば、許可証をもらって家に帰る人もいる。



 凛は、盆には家族と旅行に行くと言って、家に帰ってしまったけど、私は寮に残った。



 別に、家にいても楽しくないし、こっちのが塾に近いから。




 いつもは凛と二人で生活してたから、あんまり部屋が広いと感じなかったんだけど、一人になって、初めてこの部屋の広さがわかった。




 そのとき、ドアをノックする音がした。



「はい」




 ドアを開ける。



「!」



 
 
< 55 / 93 >

この作品をシェア

pagetop