先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
コンクール



-コンクール―






コンクールまでの日々は、猛練習続きだった。




朝と夕方の内緒の理科室の時間もしばらくはお預けとなった。




早めに来る部員も多くなって、怪しまれそうだったから。




数日間だけのお楽しみだった。







「よし、頑張るぞ」




独りごとを呟いて、部室へ入る。



速水先輩の周りには、朝早いことを良い事に、1年生が群がっていた。




3年の女子の先輩はぎりぎりにしか来ないから、今がチャンスと思っているんだろう。



私の姿を見て、ちょっと焦ったような顔をした1年生。






「気にしなくていいよ~」と先輩面をして笑顔を向ける私。






一瞬目が合った速水先輩は、ニヤっと笑ってくれた。




うふ。


私、彼女だもん。



余裕でございます、これくらい。







とは言え、ちょ~っと、くっつきすぎじゃないですか?




速水先輩も、ちょっと、やりすぎだと思います。






トランペットの持ち方が悪いと言って、持ち上げ方のレッスンをしている。




体くっついてるしぃ!!!




いくら、彼女にしてもらったからと言って、やっぱり気分が悪いです。






< 21 / 47 >

この作品をシェア

pagetop