GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
彼の身体から溢れる血の流れは止まらない…



「・・・」



アメジストのように輝く彼の瞳が瞼の後ろに隠れてしまった。



「小笠原…訊こえるか?小笠原っ!!?」



デュミナスの声に反応はなかった。



「ダメだ・・・脈がない…」



ラファエルが小笠原の脈をとったが止まっていた。

吹き付けた風が俺の腕の中に抱き締める小笠原の身体を灰にしていく。

風と共にヤツは灰となって消えた。


さっきまで、俺の手に感じていた小笠原の身体の重みが嘘のよう。

俺たちは命の儚さに涙する。

銀狼が消えたコトで、黄泉人たちの動きも止まってしまった。




幸い、退避勧告が出され民間人の退去が終了していた吉原には犠牲者はいなかった。
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