GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
「…久しぶりだな。栞…」



私の従兄弟の捺だった。



「宇都宮社長にお前の名前を訊いた時は正直、驚いた」



尭耶さんと捺は知り合いなんだ…ビジネスパートナーってコト?



「…社長の運転する車に轢かれたとか…」



「…それは…」



本当は運転していたのは秘書だけど。



「まぁ~どうでもいい…常務はお前のコト…心配していないようだ」




「分かってるわよ。私は…桐生一族の中でも落ちこぼれだし、捺のように優秀じゃないもん」



「捺…栞ちゃん、どうする?」


男のクセに女装して捺の秘書をしている哲也さんが口を開く。
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