君の隣で夢みた未来
ほんの一瞬≪side K≫
ほんの一瞬だった。


勉強中にうたた寝してしまった。


今朝、あんな夢を見てしまった所為だろう。



『ねぇ、けーすけ』



あの人に呼ばれた気がした。


俺は寝ぼけ眼で、俺がいつも呼ぶ彼女の名前をうわ言のように呟いていた。



「…つんちゃん…?」



きっと俺は夢と現実が混ざっていたのかもしれない。


俺は、目の前に居たあの子に気付かずに、彼女だと思い首をグイッと引き寄せた。


そして、いつかのように唇を重ねた。


彼女と唇を重ねたのは、あの日だけ。


これも夢だと思っていた。


夢?


それにしては、唇の温もりがとてもリアルだ…。



そこで俺はハッとした。


目の前に居るのは彼女じゃない。


あの子だ。



< 386 / 496 >

この作品をシェア

pagetop