キミの前に夕焼け





「……手、繋ぎたい…です…」





聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな声。



あぁ、あたし絶対顔赤いよ。


恥ずかしくて俯いていた顔を、少し上げて颯くんの表情を見る。


「え、」


颯くんも、顔赤い?


慌てて顔を背けた颯くんは、




「っ……はい、」



と言って手を差し出してくれた。



その手を握ると、颯くんも握り返してくれる。




外が寒いのなんてちょうどいい。


赤い頬も、握った手も、全部が熱くて



冷たい風は、涼しくて気持ちいいくらいだ。




< 222 / 298 >

この作品をシェア

pagetop