キミの前に夕焼け

悩み






「えっ、水樹くんが怪我!?」





バスケ部に桃と遊びに来た日。

三角巾で左腕を吊った水樹くんに、思わず目を丸くする。




「はは、ちょっとね」




眉を下げて笑う水樹くんは、笑ってるけど辛そうで。

そして隣の颯くんも。




「俺との衝突で怪我させちゃったんだ……本当ごめん」


「だから颯のせいじゃないって」





お互いに謝り合う2人に、レンレンがパンと手を叩く。




「まあ、こういう怪我はつきものだし、どっちが悪いとかねえよ。

とりあえず水樹は早く治せ。

もうすぐ最後の大会だろ」




そう、もうすぐ春が来る。

3年生になる颯くんと水樹くんは今年で引退で。

そしてレンレンは卒業だ。



バスケの推薦で進学が決まっていたレンレンは他のみんなが引退しても部活に来ていたから、先輩だって感じがしなかったけど……



< 239 / 298 >

この作品をシェア

pagetop