キミの前に夕焼け



「あたし、何か飲み物買ってくる!

桃、何が欲しい?」




「あっ、ありがとう!

炭酸がいいな」






わかった、と言って昇降口にある自販機に向かう途中、中庭に見覚えのある人影。


あれ、水樹くんかな……?

ふわりとした髪に白い肌、細身だけと高身長。



王子様みたいな彼の腕には包帯が巻いてあるけれど、三角巾は取れたみたいだ。




「水樹く……」

「水樹」





話しかけようとした瞬間、先を越されてしまって口を閉じる。


体育館からジャージのまま出てきたらしいレンレンが、水樹くんに声をかけた。





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