横で眠る「あなた」【未完】
第76章
又、学校の大イベントの時期が近づいてきていた。

去年を知っている子たちからは、「今年は何するの?」と聞かれ、知らない子たちからは、「去年凄かったと聞きました。今年も期待してます。」と言われる始末。

「人に期待しないで、自分でやりなよ。」って、何度も色んな人に言ったけど、「恵理子さんだから、できるんだよ。」と流されてしまった。

心の中で、そんな事ないよ。
2年前まで、こんな事一切できない子だったんだよ。
だから、みんな「きっかけ」さえあれば、できるのにと、思っていた。


でも、来年の今頃は、全部自分の為の時間にしようと決めていた私は、やはり裏プログロムをやることにした。

そして、小さく見えて、大きな問題をとりあげようと思った。

私たち生徒にとって、授業に出るのは当たり前の事とされるけど、その授業に何か問題を感じた時、生徒には文句をいう権利がない。

これは、大きな問題かもしれない。
そして、この文句を言えないことで、傷ついている生徒が一定数いる。
ならば、生徒が考える「良い授業」をやってみようと思った。

今回も、とにかく口コミ。
「必ず、行くね。」という子には、学校の正式なプログラムに出ることを勧めた。

それでも、今回は学校側から、待ったの声がかかった。
「それでも、やるつもりだ。」と答えると、学校側も知らなかった事にしてくれる事で、やれることになった。


あれだけ、正式プログラムへの参加をよびかけたにも関わらず、会場に考えた場所いっぱいに人がいた。

そして、「授業」が始まった。
はっきり言って、今から思えば「授業」の形をしたものではなかったし、上手な「授業」ではなかった。

もっと、上手な「授業」はこの世に沢山ある。
ただ、あの時、あの場に集まった人のそれぞれの思いを、誰1人も否定することなく、心地よい「場」を作り出せたという自信だけはある。

それが、1番にやりたかった事だった。

この「授業」をやることを、文通で坂田さんにも知らせていた。

坂田さんは、わざわざ見に来てくれた。


ちなみに、私が卒業後、学校の正式なプログラムとして、生徒が授業がする時間が追加された。


私は、坂田さんが見に来てくれたことが、嬉しくて感想を求めた。

そして、この時、初めて、坂田さんと初めてのデートをした。






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