獣は禁断の果実を蝕むのか。

まあ、昼間、専務にあんなことされたから。


早くここから解放されたいだけ。


怒りのパワーが、私をこんなに落ち着かせてくれている。


いくつかのファイルの下に、白く曇りがかったファイルに、何枚かの書類と一緒になってパスワード一覧があった。


そのまま、部長のイスに座ると、パソコンの電源を入れて。


すぐにパスワード入力が出て来た。


「部長は…」


小さくつぶやきながら、パスワード一覧を指で追いながら確認して。


『kyu ju』


九重を違う読み方にしたやつなんだ。


なんて、変な所で感心している場合じゃない。


パッと明るく開いたデスクトップ。


その瞬間、思わず目をそむけてしまった。
< 109 / 387 >

この作品をシェア

pagetop