私と彼の1年間

腫瘍の広がり


そして、担当の先生が来た。

その時には私の涙は止まってた。


・・・でも、目は赤かったかも。




私は親族じゃないから、検査には同行させてもらえなかった。

だからもう、帰るしかなかった。

帰り際、担当医の先生が、彼に気がつかれないように私を呼んだ。

「あの・・なんでしょうか?」

私がそう聞くと、先生は

「体の自由が利かなくなると、外に出れなくなります。

 外出許可を出すので、どこかに2人で出かけてはどうですか?」

と、言って、優しい笑みを浮かべた。


でも、その笑みは、どこか悲しそうだった。







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