ふたつの背中を抱きしめた


マルちゃんとケイくんに布団で待っててもらって、私は矢口さんから引き継ぎ事項を聞いた。

「じゃ、あと宜しくね。」

そう言って矢口さんがスタッフルームから出ていくのを見送って、私も仮眠の準備に入る。

「私、添い寝しながら仮眠取っちゃうね。1時になったら起きるから、そしたら柊くんも仮眠取って。」

夜勤は長時間の勤務になるので4時間程度の休憩、仮眠が交替で与えられる。

子供が寝入ってしまった後や添い寝の必要のない子ならば仮眠は1人で取ることも出来るけど。

今日は私の寝床はマルちゃんとケイくんの間になりそうだ。

「目覚ましかけると子供達が起きちゃうからさ、悪いんだけど柊くん起こしに来てくれる?」

「分かった、1時な。」

快く返事してくれた柊くんは何故だか嬉しそうで。

「…なんで笑ってるの?」

「真陽の寝顔が見れると思うと楽しみで!ヨダレ垂らしてたら写メ撮っていい?」

「…やっぱ自力で起きるから起こしに来なくていいよ。」

「絶対行く。ゆっくり寝てな。」

くっくっと笑う柊くんは本当に楽しそうで。

私は不安とマルちゃんリクエストの本を抱えながらスタッフルームを後にした。


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