ふたつの背中を抱きしめた
最終章 ぼくらの愛でる女(ひと)

1.浅葉綜司の誓い








ーーー…園長…ごめんなさい。

俺、本当はまだ真陽と付き合ってるんだ。


「…そんなコトだろうと思ったわ。」


ーーー分かってたの?


「貴方は隠し事が上手に出来るほど器用じゃないでしょう。それに、最近の櫻井さんの窶れ方は普通じゃないもの。」


ーーー…やっぱり…真陽があんなんなのは俺のせい、なのかな…?


「…どうしてそう思うの?」


ーーー…こないだ、すごく泣かせちゃって。

でも、俺には真陽の言ってるコトがよく分からなくって。

…ただ、あんなに泣きじゃくってる真陽を見て、俺は今まで真陽に甘え過ぎてたんじゃないかって…思ったんだ。


「………」


ーーーねえ、園長。真陽と別れろって言ったあんたにこんなコト聞くのは間違ってるかもしれないけど…でも、俺、他に教えてくれる人がいないんだ。

後でいくら怒られてもいい、 ぶたれたっていいよ。だから…だから教えて下さい!

俺、どうしたらいいの?

真陽が大好きなのに、大切でしょうがないのに…

…どうして俺は真陽を苦しめちゃうの…?

傍に居たいのに…俺はなんで笑顔にしてあげられないの…?

…どうすれば…いいの?


お願い…教えて下さい、園長…!



「…柊くん 、あのね…」






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