ふたつの背中を抱きしめた



「あきらめて無いから!もっといい男になってまた来るからな!

あのちんちくりんにも言っとけよ!

それから手紙書くから!お前じゃねーよ!真陽にだよ!だから、ちゃんと真陽のベッドに届けろよ。お前は読むなよ!

あと、真陽が目ぇ覚めたら1番に俺に報せろよ!分かったな!」


沢山の捨て台詞を吐いて、柏原柊は去って行った。



彼の乗ったバイクが、病院の駐車場から出ていくのを

綜司は病室の窓から見下ろしていた。


「ホント、無礼って言うか破天荒って言うか。」


苦笑いをしながら綜司は柊の持ってきたヒイラギの花束を手に取った。

「固くてトゲトゲしてよく似てるよ。」



でも、まあ。

と、真陽の眠る顔を見ながら綜司は語り掛けた。


「よく似てるね、僕に。なんで真陽があいつを受け入れたか分かった気がするよ。」


真陽の細い髪を撫でながら、綜司は世界一愛しいその唇にキスをした。



「あいつ、また来るってさ。

…真陽の目が覚めるのとあいつが諦めるの、どっちが早いかなぁ。」



独り言のように呟いて、浅葉綜司は窓の外の空を見上げた。





澄み渡った青い空に



春の太陽が温かく、輝いていた。












ーーーーーーーーーーfinーーーーーーーーーーーーーー


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