ココロヨミ
七日目 〜繋がる心、届く想い〜
夜の街、雨を受けいっそう艶やかに輝くネオン街その路地裏から、パシャパシャと水溜まりを跳ねる足音が響く。

空から落ちる細やかな水滴に濡れまいと、ビニールでできた色とりどりの傘が通りを行き交う。その真っ只中に、一つの影が息を切らしながら飛び出してきた。

「っはぁ、はぁ、すみません!救急車!……誰か救急車を呼んで下さい!!」

道行く人々が歩みを止め、何事かと振り返る。

その視線の先には、全身から雨粒を滴らせながら必死の形相で叫ぶ青年。

そしてよく見れば、影はもう一つ―――青年の上着を掛けられ、背中におぶわれた少女。

目を閉じたその顔は見るからに青ざめ、時折足下のグレーのアスファルトに深紅の水玉模様を作る。


「誰か!!」


桐原の悲しみを代弁するかのように、ザァザァと降りしきる雨はその勢いを更に増していく。


世界が斑に滲む。

世界は斑に滲む。

ザァザァ。ザァザァ。
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