光の翼【編集中】
「…光梨?どうした?」
颯太が、下を向いた私の顔を覗き込む。
「…う、ん。」
「ん?」
「…私で、いいのかな…って。」
役に選ばれたことは、すごく嬉しい。
正確には、嬉しかった。
名前が呼ばれた瞬間、私以外の時間が止まってしまったように思えるくらい。
有頂天で、夢見心地で、周りが見えてなかった。
だけど。
颯太に話しているうちに、あぁ、本当のことなんだなぁって現実味が帯びてきて。
嬉しい反面、不安にもなった。
「え…?」
「…だって。オーディション、全然自信なかったし。
先輩だって、…演劇科の子だってたくさんいるんだよ?
それなのに、…私なんかで、本当にいいんかな…。」
「…。」
颯太は、黙って聞いてくれている。
「…ごめん。」
なんだか、自分ひとりで喋ってるみたいで、思わず謝ってしまう。
「…。」
沈黙したまま、二人の影が並んで伸びる。