涙空



「…もう勉強の話すらしたくない。…怜香、夏樹君と順調?」

「勉強の話したくないからってなんであたしの近状報告しなきゃいけないの。順調です」

「なんか苛立つわあ」

「なら聞くな」




夏樹君と怜香が付き合い始めたのは今年、学年が上がってすぐだったと思う。

高校二年になってから、ますます怜香は綺麗になりやがった。見事に私を置いて。




「怜香なんて、怜香なんて…!夏樹君と外国に行ってゴールインしちゃえばいいんだ!」

「とんでもなく問題発言してるんだけどこの子」

「野崎、それ寧ろ間宮のこと応援してる」

「怜香と郁也と夏樹君の馬鹿野郎!」

「ちょ、野崎なんの話だよ、俺関係ないと思うんだけど」




私が大声を上げた瞬間に返ってきた夏樹君からの言葉。

知るか。夏樹君なんて外国に飛ばせられれば良いと思う。




「夏樹君、外国で怜香とゴールインしてきて」

「お前等どんな話してたの?」




夏樹君が困ったように言ってきた。

―――これが日常です。



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