涙空



「夏樹君ってロマンチストなんだね」




夏樹君は郁也と話ながら笑顔を浮かべてる。それに目線を向ければ口から零れた言葉。

怜香はそんな夏樹君をちらりと見てから言った。




「あのときだけ、ね。普段はテンション高いだけの高校生だから」

「…夏樹君って頭良いよね」

「なにいきなり」

「いやいや、私の周りは頭が良い人ばっかりなのに、なんで私だけ空っぽなのかな、と」

「天性だから仕方ないんじゃない?」

「天性とか思いたくないんですけど」




天性って。嫌な性質与えられちゃったな、私。

それに比べて怜香だの夏樹君だの郁也だの。周りが幸せ者すぎる。



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