涙空

秘め事を曖昧に濁す




――――――…


「それを本人に言う佳奈の理論がわからない」

「だって昨日言われたから…!」




翌日、郁也に何気なく言ってみた。「昨日、桐谷先生がさ、郁也のこと可愛げのないガキ、って言ってたよ」って。

興味本意で言ってみたけど。逆効果でした。




「まあ教師から見れば高校生はガキだよな」

「…怒ってますね。郁也さん」

「さあ。ただ担任に対しての好感度も彼女に対しての好感度も急降下したけどな」

「ごめんなさい」




頭を下げる。いや、でもね?でもね?

言い出したのは、あの担任で!私はあんまり悪くなくて…!




「それで?隈でも指摘されたのかよ」

「え!」

「隠すつもりがあったかは知らないけど、隠せてない」

「え!嘘!ファンデーションで隠したのに…!」




思わず、目許にすっと自分の手が伸びる。

朝から鏡と向き合ってどうにか隠したっていうのに!…ていうか、寧ろファンデーション目立ってたとか?



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