花火が消えるまでに




…ーチンッ


「あ、」
「お、おはよう」

エレベーターが開くとちょうど中にいる部長と視線がぶつかった

その瞬間どきりと心臓が跳ねた

今日もきっちりと黒いスーツに身を包み、紺のネクタイをきゅっと締めてある

それに優しい笑顔…
思わず見惚れてしまって私は挨拶するのを忘れてしまった


「おはようございます~」
「なんだ、眠そうだな」
「いえいえ、そんなことないですよ~」


佳菜子は固まっている私に気づかず先にエレベーターへと乗り込んだ


「ん?望?」
「あ、ごめんなさいっ」


我に帰った私は慌ててエレベーターへと乗り込む

そんな姿を部長は笑った


「大丈夫か?お前も寝不足なのか?」
「い、いえ…大丈夫です」


…部長がかっこよすぎるせいですって言えるわけないよね…



エレベーターが目的地に着くと3人とも降りて行った

部長と会えるのなんてなかなかない…



「ごめん、佳菜子先行ってて?」
「ん?はいよー」


佳菜子はちらっと私を見て、それから右手を軽く挙げて振りながら部屋へと入って行った


少し先を歩いている部長を小走りで追いかけた



「ぶ、部長!」
「ん?」


部長がゆっくりと振り返り、私と視線が交わる

「なんだ、どうかしたか?」
「あ、あの…これ」


私は紙袋を部長に渡した
部長は首を傾げて中を確認するとまたクスリと笑った





< 17 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop