花火が消えるまでに



え…?部長…?



「ん?なんだ?」

すぐ後ろでドキリとする低音が聞こえたと思えば、なんと部長は私の真後ろに座っていた

みんな場所をいろいろ移動してるから全然気がつかなかった…

て、てか近い



「船山ちゃんて、天然ですよね~?」
「か、加藤先輩っ!」


うわ~ん、よりによって部長に聞かないでくださいよ


案の定、部長は先輩の言葉に首を傾げてちらりと私を見た

いつもはしっかりと閉めてあるシャツのボタンが、今日は2つもあいている

濃いグレーのネクタイも緩んでいて、綺麗な鎖骨がちらっと見えている


大人の色気にクラクラしていると、部長がふわっと笑った



「ああ、確かにそうかもな。階段とかで転ぶタイプだろ」

「あ、そうです!よくなんもないとこで転びます」


ぎゃー!佳菜子っ!
やめてよほんとに!



「ね~船山ちゃん絶対モテるよ~!てか、私が彼女に欲しいくらいだもん」

「いや…その…ほんとそんなことないです…」



私がモテるなんてほんとありえないし!
加藤先輩ってば、絶対酔ってるんだ


「そういえば船山ちゃんは彼氏いないの?」

「…え」

「ほら寺下さんはいるって聞いたけどさ、そういえば聞いたことないなーって」


加藤先輩はジョッキを殻にするとニヤリと笑い、ジョッキを置いた



「それか、好きな人でもいるの?」
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