夢でいいから~25歳差の物語
そして、待ちに待った生物の課外はいつもの授業とうってかわって、ハイスピードだった。


しかし、もともと生物が好きな私はどんどんプリントの問題を解いていってしまったので、どこの解説がされているのかわからなくなってしまった。


少ししてやっと先生が今、解説しているところを見つけた。


それは私が解いている問題から見て、プリント2枚分戻ったところだ。


ちょっと進み過ぎたかな。


私のプリントを覗き込んだ青山先生も「早いな」と笑う。


些細なことだが、自分を見てくれたような気がして嬉しかった。


自然と口元が緩んでしまうのが、隣にいる三七子ちゃんにバレそうな気がして慌てて口を手で隠す。


そんな私の気持ちをまったく知らない三七子ちゃんの口からは、独り言がこぼれている。


「ええと、AABBの遺伝子型のとaabbの遺伝子型のが受精して出来た子供の遺伝子型がAaBbで、それが自家受精して…あー、こんなのわからないよ。もう生物なんて嫌ーい」


そういえば彼女は数学の次に生物が嫌いと言っていたんだっけ。


ちなみに私も数学は嫌い。


いや、大嫌いだ。


そんなことを考えながら、今度は妄想にふける。


内容は単純。


私が青山先生に告白して、OKをもらって…というもの。


夢でいい。


夢でいいから先生に言ってもらいたいよ。


「お前が好きだ」って。


そう思っているだけでは無駄だとしても、本人を目の前にして気持ちがおさまるわけがなかった。
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