夢でいいから~25歳差の物語
「えーっと、高校生の時ですね」


私は頬を指でかきながら答えた。


「そうですか。あたしは中学生の時、心から愛した人がいました」


「そうなんですか」


「はい。彼は笑顔が素敵で優しくて何でも出来る人で、彼と一緒にいる時間はかけがえのないものでした」


「へぇ」


私はその男性に興味を持った。


しかし、次の瞬間に美綺さんがこう言ったので深く聞くのはやめた。


「まぁ、突然フラれてしまったんですがね」


その顔は笑っていたが、なんとも寂しい微笑みだった。


「私も先生に1回フラれました。しかも婚約相手が私の母だったんです」


「まぁ、お母様?」


「はい」


「そうでしたか…」


彼女は同情に満ちたため息をもらした。


その時、私のケータイがメールの到着を知らせた。


ディスプレイを見ると知らないアドレスが表示されている。


開いてみるとたった一言


<いつまでも笑っていられると思わないことだな 魔王>


と書かれていた。


「!」


私は思わず立ち上がった。


一気に血の気が引く。


顔が青ざめているのが自分でもわかる。


「どうしました?」


何も知らない美綺さんが聞いてきた。


「魔王」


「え?」


「魔王からメールがきました…」
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