夢でいいから~25歳差の物語
Secret30 疑い
チュンチュン。


ガササ…。


鳥達のさえずり。


木々がそよ風に吹かれて奏でる音。


それらは自然が生み出す穏やかなBGM。


そして窓から差し込む日光という大自然のライト。


翌日、昼寝から目を覚ました時、私はそんな自然の恵沢をめいっぱい受けていた。


そして大切なはずの人も私のそばにいた。


「先生…」


先生は穏やかな眠りについていた。


入り込んでくる風がベッドに伏せる先生の黒髪をふわりと揺らす。


髪はまるで天使がいたずらしたかのように、ほんの少しだけ乱れた。


時計に目をやるとすでに面会開始時間を2時間も過ぎていた。


「先生」


「う…」


私が肩をぽんぽんと叩くと先生はうっすら目を開けた。


「流星?」


「う、うん」


うわぁ、やっぱり慣れないせいか敬語じゃないのって変かも。


「はは、ちょっと気持ち良くなっちゃってつい寝ちゃった」


「あはは」


「ところでどうしたんだ?」


「え?」


「首」


「!」


鏡を取り出して見てみると、かすかだが首を締められた跡があった。


「どうだ?愛しい男の手によって意識を失っていく気分は」


昨夜の魔王のセリフを思い出す。


私は怪訝そうな先生の顔を見た。


先生(このひと)が魔王なの…?
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