夢でいいから~25歳差の物語
家には歩いて約30分で着いた。


門を開け、中に入ってチャイムを鳴らす。


ピンポーン。


ごく一般的なチャイムが響く。


「はぁい」


その声と共に母が顔を出した。


その姿もやはりまったく変わっていない。


「あら、流星。おかえり」


「ただいま」


「さぁ、中に入って。今、お茶を淹れるから」


「あ…うん」


あれ?


先生は?


なんとなくほっとしたけど気になってしまう。


まぁ、仕事かもな。


教師って祝日とかで生徒が休みでも学校に行っていたりするんだよね。


そう考えてリビングに来た私は母が差し出した紅茶を飲んだ。


「…!!」


私は目を見開く。


「どうしたの!?」


母は驚いたように立ち上がった。


「…おいしい」


「もう、やめてよ。驚いたじゃない。寿命が縮んだわ」


「まだ41歳のくせに」


「子供はお黙り」


「私、もう20歳ですけど」


「あなたがしばらく帰ってこないから、年齢もわからなくなっちゃったみたい」


「そりゃひどいな」


「あっ、他人事みたいに言ったわね」


たわいのない話でしばらく盛り上がっていたが、私は勇気を振り絞って先生の話をしてみた。


「ねぇ、母さん」


「何?」


「先せ…じゃなくて父さんって仕事なの?それとも…」


「離婚したわ」


私の言葉を遮って母は強い口調で言う。


「え?」


「離婚したのよ、わたし達」


「…!」


ガシャーンッ!


私の中で何かが割れる音がした。
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