【続】私は彼氏がキライです!?



「ただいま〜!!」



お家に帰るとお母さんはキッチンで後片付けをしていて、お父さんはまだ写真を見ていた。



「お母さん後はコナミがするよ」



「コナミ、お父さんはダメって言ったんじゃないからね?」



「うん、分かってる」



お母さんの隣で濡れたお皿をフキンで拭いていると、リビングからお父さんの声がした。



「コナミ、家を出てアツくんと二人で生活してみるか?」



・・・え?



まさかそんな提案がお父さんの口から出るなんて思ってもいなかった。



“同棲”



その言葉の響きと、アツと同じお家に帰れる事。



飛び上がって喜んで、すぐに“うん!!”って返事をしそうになった自分にストップをかけた。



「アツと相談してみるね」



結婚する前に生活を共にしてみればまだ知らないお互いを知って、もっともっと現実的に考えられるかもしれない。



でもこのお家で両親やお兄ちゃん達と暮らせる残りの時間も、今はすごく大切に思えるんだ。



いっくんが結婚した時に実感した。



あぁ・・・もういっくんのお家はここじゃないんだ。もう二度とこのお家で、みんな揃って暮らす事はないんだなぁって。



新しい家族が出来た喜びと同時に、“寂しい”って感じた事も確かだった。



お父さんとお母さんはもっとそう思ったかもしれないね。



大切に大切に育ててくれたのに、みんないつかはこのお家を出て行く。



でもね、こうも考えたんだ。



もしアツと結婚して、子供が出来て、いつか送り出す日を迎えた時、それでもアツは必ず隣にいてくれる。



夫婦になるって、親や兄弟、子供よりずっと一緒にいるって事なんだよね。



すごく重要で、人生で一番大切な約束事なのかもしれない・・・。



今日、そう思ったんだ。




.
< 97 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop