ヘタ恋。
▼ はじまり
真新しい制服に身を包み、
知らない人ばかりで
臆病になってしまうのを
必死に隠しながら、
自分の教室に入る。
入学式。
晴れやかな響きだが、
入学式ほど緊張するものはない
同じ中学から一緒に来た友人と
喋る賑やかな声がうるさい。
中学からの友人がいない俺は
自分の席で顔を伏せる。
とんとん 。
誰かに肩をたたかれ、
顔をあげる。
「 あたし、宮瀬美月。
席、となりだね。仲良くしてね。」