プレシャス・ラブ ♪

─ユタヤ─

「そこに座って。」

スミレの母親がソファを指したけど、俺達はソファの下に正座をした。


この状況で、図々しくもソファに座る勇気は無かった。



「お!不良姉ちゃん。おかえり~!」


「櫟(イチイ)、合宿は?」


「お~昨日帰って来た。これ、おみや~!!」


愛想良く、俺達に温泉饅頭を差し出すスミレの弟。

弟の明るさが、何と無く場違いだ…。


そして俺の前で、饅頭を出す手が止まった。


「あれ?どっかで会ったような…?俺の事知りません?」


「知ってるよ。」


飲み物を持ってきたり、一緒にご飯を食べたこともあるスミレの弟。


知らないはずないだろ。





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